活動報告

石井登志郎・西宮市長インタビュー⒄★190108――ごみ処理広域化には高い理念が必要

投稿日 2019年1月8日

私は昨年9月20日、西宮市役所で石井登志郎市長にインタビューをしました。その詳報をこのブログで25回にわたって連載します。毎週火曜日と金曜日に掲載します。

芦屋市とのごみ処理広域化の協議の進捗は。これについての石井市長の考えは。

石井市長 「私はごみ処理広域化が政策目標ではないと思っています。西宮市の場合、中核市で袋の中が見えない黒いポリ袋を使っています。西宮市民は環境についての意識が高いのですから、廃棄物についてはごみ袋指定制度の導入を含めて、検討できる範囲が広いと私は考えています。その文脈の中でごみ処理広域化を進めていきたいと思っています」

かんの 「どういうことですか」

石井市長 「芦屋市との協議では、コスト削減や両市の負担割合ばかりが注目を集めますが、中心課題は両市によるごみ処理の広域化が実現可能かどうかを判断することです。ごみ処理場の整備は一定の人口規模がないと、効率的ではないと言われています。その文脈で言うと、人口約9万4000人の芦屋市がごみ処理場を単独で運営しているのはあまり効率的ではないと言えるかもしれません。西宮市の場合でも2か所のごみ処理場を1か所に集約することが将来に向けて見据えるべき課題です。芦屋の約9万4000人分のごみ処理が加わることが大きいととらえるか、小さいととらえるか」

かんの 「ごみ処理広域化の必要性があるということですね」

石井市長 「ごみ処理施設の整備費や運営費の削減という議論に矮小化してはいけません。良好な住宅都市をつくっていくという文脈の中にゴミ処理の広域化が含まれるという形にしたいと思っています」

かんの 「しっかりした理念や哲学が必要ですね」

石井市長 「そうですね。ごみ処理広域化に向けた前提条件が整っているのは事実です。両市のごみ処理場がそれぞれ芦屋浜や西宮浜、鳴尾浜と海岸部に位置していますし、それぞれの施設の更新時期も近い」

かんの 「積極的に推進するお考えはあるわけですね」

石井市長 「その考えもありますが、整備費や運営費の削減の観点だけでゴーサインを出す話ではありません。私は個々の施策を全て、街づくりにつなげていきたいと考えています。私が今、最も精力を傾けている分野の1つです」

かんの 「市長のリーダーシップが必要な分野ですね」

石井市長 「そうです」

かんの 「市長は率先垂範でやっていくということですか」

石井市長 「率先垂範というか、丁寧に進めなくてはいけません」

石井登志郎・西宮市長とかんの
石井登志郎・西宮市長(右)とかんの

※⒈ごみ処理広域化について

西宮市はごみ処理にかかる公共投資や処理費用の削減、環境負荷の軽減を目的に、芦屋市との間でごみ処理施設を集約して広域的に処理する方策を考える検討会議を開いています。
西宮市には鳴尾浜の東部総合処理センターと西宮浜の西部総合処理センターの2つのごみ処理施設があります。芦屋市には浜風町の環境処理センターがあります。国はごみ処理について自治体の枠を超えて広域的に行うことを促進しています。これを受けて、西宮市は近隣市と広域化について意見交換を進めてきました。芦屋市とは両市がそれぞれにもつ焼却施設や不燃ごみなどを扱う破砕選別施設について更新時期が近く、それに合わせて一緒に新施設を整備できることから、検討会議を立ち上げることにしました。

広域化の最大のメリットは処理施設の整備費用の削減や施設運営の効率化です。両市は経費削減効果について、両市がそれぞれ単独で施設を整備・運営する場合と比較すると、広域化の方が20年間の運営費用を含め、約256億円を削減できると試算しています。環境負荷の軽減については、同様の比較で温室効果ガスの排出量を全体で13.3%削減できるとしています。デメリットとしては運搬車両が施設周辺の道路に集中する懸念があることなどが指摘されています。

これまでの検討会議では、新たな破砕選別施設を東部総合処理センターの敷地内に、焼却施設を西部総合処理センターの敷地内に整備することが適切との認識で一致しました。両市は芦屋市の環境処理センターの敷地で新施設を整備する場合は敷地面積や形状、整備上の諸条件からコストがかかると判断しており、両施設とも本市側で整備する方向で議論を進めることにしました。稼働はそれぞれ平成36年度と40年度を目指すとしています。広域処理の組織については、一部事務組合や広域連合なども検討しましたが、本市が芦屋市の委託を受けてごみ処理を行う「事務の委託」という方式が意思決定の速さや新しい組織を立ち上げる必要がないという簡便さから、適切との認識で一致しました。

芦屋市の可燃ごみのうち直接、ごみ収集車で収集するものは西宮市の新施設に運ぶ方向です。それ以外の可燃ごみや芦屋市の不燃ごみなどは芦屋市の環境処理センターの敷地内に中継施設を設けて、ここに集めたうえで大型車両に積み替えて本市の新施設に運搬する方法が有力になっています。この方法によって、施設周辺における車両の通行量の増加や市民サービスの低下を抑えられるとしています。

協議の最大の焦点は焼却施設や破砕選別施設の整備費用、施設の運営費用などを含めた広域化に伴う費用を両市でどのような割合で負担するかという費用の負担割合の問題です。広域化に伴う費用の総額は20年間の施設運営費に加え、芦屋市が広域化費用に盛り込むことを求めるとみられる中継施設の整備費などを含めると、約820億円に達すると試算しています。

負担割合については、両市で均等に負担する均等割とごみ量などに比例して増やす従量割の2つの方式を採用する考えが浮上しています。問題は2つの方式の採用割合などをどのようにするかで両市の負担が大きく変わることです。
両市はメリットを公平に享受することでは合意していますが、他市に参考になる先行事例が見当たらず、客観的な算出根拠も見いだしにくく、両市とも納得できる水準を見いだすのは難しい状況です。

芦屋市環境処理センター
芦屋市環境処理センター=芦屋市浜風町

西宮市東部総合処理センター
西宮市東部総合処理センター=鳴尾浜

西宮市西部総合処理センター
西宮市西部総合処理センター=西宮浜

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